こんにちは。知識ゼロから始める、わたしらしい車中泊とライフスタイルの運営者のtakochiです。
車中泊や長距離ドライブで「車内で家電が使えたらもっと快適なのにな」と考えたことはありませんか?そんな時に便利なのが、車の電気を家庭用コンセントに変換してくれる「インバーター」ですよね。
特にシガーソケットに挿すだけのタイプは手軽で魅力的ですが、いざ選ぼうとすると「一体何ワットまで使えるんだろう?」という疑問にぶつかると思います。車のアンペア数やヒューズとの関係も気になりますし、消費電力の大きいドライヤーのような家電は使えるのか、もし限界を超えたらどんな危険性があるのか、心配な点も多いですよね。
さらに、もっと大きな電力を使いたい場合はバッ直という方法もあるようですが、インバーターの選び方には正弦波といった専門用語も出てきて、何から調べればいいか分からなくなってしまうかもしれません。特にトラックなど24V車の場合は、また勝手が違うようですし…。
この記事では、そんなインバーターとシガーソケットの限界に関する疑問を、車中泊に興味津々の私と一緒に一つずつスッキリさせていきたいと思います。
安全に車内で電気を使うための大切なポイントが分かりますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
この記事でわかること
- シガーソケット電源の限界が何ワットか分かる
- 安全なインバーターの選び方が理解できる
- 限界を超えて電化製品を使った場合のリスクが分かる
- 「バッ直」など他の電源の取り出し方が分かる
シガーソケット用インバーターの限界と注意点
まずは、一番手軽なシガーソケットに挿すタイプのインバーターについて。
実は、この手軽さの裏には知っておかなければいけない「限界」があります。
ここを理解しておくことが、安全な車内電源活用の第一歩になりますね。
シガーソケットは何ワットまで使える?

結論から言うと、多くの普通乗用車でシガーソケットから取り出せる電力は、だいたい120W〜150Wが上限かなと思います。
なぜこの数値になるかというと、車の「電圧(V)」と「電流(A)」が関係しています。電力(W)は、以下の計算式で求められます。
電力(W) = 電圧(V) × 電流(A)
日本の一般的な普通乗用車の電圧は12Vです。
そして、シガーソケットの回路には、過剰な電流が流れるのを防ぐために「ヒューズ」という部品が使われていて、このヒューズの容量がだいたい10Aか15Aに設定されていることが多いんですね。
これを先ほどの式に当てはめてみると…
- 10Aのヒューズの場合: 12V × 10A = 120W
- 15Aのヒューズの場合: 12V × 15A = 180W
となります。15Aなら180Wまでいけそうですが、常に最大値で使い続けるのは車への負担も大きいので、安全マージンを考えて150Wあたりが上限とされていることが多いようです。
【ポイント】シガーソケットの限界は120W〜150Wが目安!
ご自身の車の正確な数値は、取扱説明書で確認するのが一番確実ですよ。
車のアンペア数とヒューズの関係
先ほど少し触れた「ヒューズ」ですが、これは車の電気系統における安全装置の役割を担っています。
もし、シガーソケットで許容量以上の電気を使おうとすると、配線が熱を持って最悪の場合は火災につながる危険性があります。
そうなる前に、ヒューズが自ら切れる(飛ぶ)ことで電気の流れを遮断し、車を守ってくれるというわけです。
もしインバーターを使っていて急に電気が来なくなったら、ヒューズが飛んだ可能性が高いですね。
ヒューズは運転席の足元などにあるヒューズボックスに収められていて、切れたヒューズは交換する必要があります。
【危険】ヒューズの容量アップは絶対にダメ!
「ヒューズが飛ぶなら、もっと容量の大きいアンペア数のものに交換すればいいのでは?」と考えてしまうかもしれませんが、それは絶対にやってはいけません。
ヒューズの容量は、その先の配線が安全に流せる電流の量に合わせて設定されています。
容量の大きいヒューズに交換すると、配線の許容量を超えた電流が流れ続けてしまい、配線が溶けたり、発火したりして車両火災につながる深刻な事態を招く恐れがあります。
とても危険なので、必ず指定された容量のヒューズを使用してくださいね。
なぜ150Wインバーターが主流なのか
カー用品店などでシガーソケットタイプのインバーターを探すと、最大出力が120Wや150Wの製品がたくさん並んでいますよね。
これは、これまで見てきたように、ほとんどの車のシガーソケットが安全に供給できる電力の限界に合わせているからなんです。
「150Wって、どのくらい使えるの?」と思うかもしれませんが、意外と色々なことができますよ。
- ノートパソコンの充電
- スマートフォンの急速充電
- タブレットの充電
- ゲーム機の充電
- 小型の扇風機
- 電気シェーバー
こうした消費電力の比較的小さな機器であれば、150Wもあれば十分に対応できることが多いです。
手軽さと安全性のバランスが取れた、シガーソケット活用のための最適なサイズ感ということですね。
ドライヤーなどの家電は使用可能か

では、車中泊であったら嬉しい「ドライヤー」や「電気ケトル」のような、熱を発する家電はどうでしょうか?
これは残念ながら、シガーソケットタイプのインバーターでは、まず使えないと考えておいた方がいいです。
一般的な家庭用ドライヤーの消費電力を見てみると、安くても600W、パワフルなものだと1200W以上にもなります。
電気ケトルもお湯を沸かすのに800W〜1300Wくらい必要です。これは、シガーソケットの限界である120W〜150Wをはるかに超える数値ですよね。
もし使おうとしても、すぐにインバーターの保護回路が作動するか、車のヒューズが飛んでしまうだけで、まともに使うことはできません。
車中泊向けの低消費電力なドライヤーや湯沸かし器も販売されていますが、やはり家庭用に比べるとパワーはかなり控えめです。
性能を求めるなら、後述する別の方法を検討するのが良さそうです。
限界を超えた使用に伴う危険性

「もし、うっかり限界を超えた家電を繋いでしまったらどうなるの?」と心配になりますよね。
考えられるリスクはいくつかあります。
- ヒューズが飛ぶ
最も可能性が高いのがこれです。車を保護するためにヒューズが切れて、シガーソケットが使えなくなります。 - インバーターや家電が故障する
無理な電力の供給は、インバーター本体や接続した電化製品にダメージを与え、故障の原因になることがあります。 - 車両火災の危険
これが最も恐ろしいリスクです。万が一、ヒューズが正常に作動しなかったり、規格外のヒューズが使われていたりすると、配線が異常に発熱して被覆が溶け、ショートして火災に至る可能性があります。
電力の限界を守ることは、自分の安全と大切な愛車を守るために非常に重要です。
「ちょっとくらいいいかな」という油断が、取り返しのつかない事態を招く可能性もあるので、必ずインバーターと電化製品の消費電力を確認する習慣をつけたいですね。
インバーターでシガーソケットの限界を超える方法
「やっぱり、もっと消費電力の大きい家電を車で使いたい!」そうなってくると、シガーソケット電源の限界を超えるための、もう一歩進んだ方法が必要になります。
ここからは、その代表的な方法について見ていきましょう。
バッ直とシガーソケットの違いを解説
シガーソケットの限界を超える方法としてよく聞くのが「バッ直(ばっちょく)」という方法です。
これは、その名の通り、車のエンジンルームにあるバッテリーから直接、電源ケーブルを引き込む方法を指します。
シガーソケットが「室内のコンセント」だとすれば、バッ直は「屋外の分電盤から直接電気を引いてくる」ようなイメージでしょうか。
車の純正の細い配線を通らないので、より大きな電力を安定して取り出すことができるんです。
シガーソケット接続との違いを簡単にまとめてみました。
| 項目 | シガーソケット接続 | バッテリー直接接続(バッ直) |
|---|---|---|
| 手軽さ | ◎(挿すだけ) | △(専門知識・作業が必要) |
| 最大電力 | △(約150Wまで) | ◎(数千Wも可能) |
| 安全性 | ○(容量を守れば安全) | △(適切な施工と管理が必要) |
| コスト | ◎(インバーター本体のみ) | △(ケーブルやヒューズ、工賃など) |
バッ直は大きなメリットがありますが、バッテリー上がりのリスク管理や、適切な太さのケーブルやヒューズを選ぶといった専門的な知識が必要になります。
作業に自信がない場合は、無理せず専門の業者さんにお願いするのが安心ですね。
用途別おすすめインバーターの選び方

インバーターを選ぶときは、「何に使いたいか」という目的をはっきりさせることが大切です。
目的に合わせて、必要なワット数や接続方法が変わってきますからね。
スマホ充電やPC作業がメインなら
この場合は、150W以下のシガーソケットタイプで十分です。
取り付けも簡単ですし、何より手軽に始められるのが魅力ですね。私もまずはこのタイプから試してみました。
小型の調理器具や電動工具を使いたいなら
炊飯器(少量炊き)や電動ドリルなどを使いたい場合は、消費電力が300W〜700Wくらい必要になることが多いです。
このあたりからバッ直接続タイプのインバーターの出番になります。
製品選びも、使いたい家電の消費電力をしっかり確認することが重要です。
快適な車中泊を目指すなら
電子レンジやドライヤー、小型のエアコンなど、快適な車中泊の実現を目指すなら、1500W以上の大容量インバーターが必要になってきます。
ここまでくると、車のメインバッテリーだけではバッテリー上がりが心配なので、「サブバッテリーシステム」の構築を検討する段階に入ってくるかなと思います。
あるいは、最近人気のポータブル電源を活用するのも、とてもスマートな選択肢ですね。
精密機器も安心の正弦波とは
インバーター選びでもう一つ重要なポイントが、電気の「波形」です。
インバーターが作り出す電気には、主に「正弦波(せいげんは)」と「修正正弦波(しゅうせいせいげんは)」の2種類があります。
なんだか難しそうですが、要点だけ押さえれば大丈夫です!
- 正弦波(純正弦波)
家庭用のコンセントから流れてくる電気とほぼ同じ、滑らかな波形の高品質な電気です。パソコンやスマートフォン、テレビ、電気毛布といった精密な電子回路を持つ機器でも安心して使えます。ただ、お値段は少し高めになります。 - 修正正弦波(矩形波)
正弦波の波形を簡略化して、カクカクとした階段状にした電気です。構造がシンプルな分、価格が安いのがメリット。ですが、精密機器には使えなかったり、モーターを使った機器で異音がしたり、正常に動かなかったりすることがあります。
【ポイント】迷ったら「正弦波」を選ぼう!
修正正弦波は使えない機器があるなど制限があるので、初心者の方は少し高くても「正弦波(純正弦波)」と書かれたインバーターを選んでおけば、まず間違いありません。「せっかく買ったのに使えなかった…」なんて事態を防げますよ。
トラックなど24V車の注意点

これは私のような普通乗用車に乗っている人にはあまり関係ないかもしれませんが、大事なことなので触れておきますね。
大型トラックやバス、一部のSUVなどは、バッテリーが2つ直列に繋がれていて、電圧が24Vになっています。
普通乗用車用の12V対応インバーターは、24V車では絶対に使用できません。
もし間違って接続すると、インバーターが一瞬で壊れてしまうだけでなく、火災などの重大な事故につながる危険性があります。
24V車にお乗りの方は、必ず「24V対応」と明記されたインバーターを選ぶようにしてくださいね。
安全に使うためのインバーターとシガーソケットの限界まとめ
さて、今回は車で電気を使うための第一歩、インバーターとシガーソケットの限界について見てきました。
ポイントをおさらいすると、
-
- シガーソケットの限界は120W〜150Wが目安。
- ドライヤーなど消費電力の大きい家電は使えない。
- 限界を超えた使用はヒューズが飛んだり、火災の危険も。
- 大きな電力が必要なら「バッ直」やポータブル電源を検討。
- インバーターは「正弦波」を選んでおくと安心。
ということでしたね。
私も最初は電気のことって難しく感じましたが、このインバーターとシガーソケットの限界を正しく理解することが、安全で快適な車中泊やカーライフを楽しむための、本当に大事な第一歩なんだなと感じています。
まずはご自身の車で何ワットまで使えるのかを確認して、小さな電力の機器から試してみてはいかがでしょうか。
この記事が、あなたの参考になれば嬉しいです。
車の電気系統に関する作業は、間違うと重大な事故につながる可能性があります。
この記事は一般的な情報を提供するものであり、安全性や確実性を保証するものではありません。
ご自身の判断と責任において作業を行っていただくとともに、少しでも不安な点があれば、ディーラーやカー用品店の専門スタッフに相談することをおすすめします。